STAFF

看護師 所長

髙橋 啓太

念願の草加出店、地域に根差すステーションを目指して

これまでのキャリアを教えてください。

都内大学病院の救命救急センターでの勤務を経て、訪問看護の世界へ入りました。
救命センター時代、重症で会話も難しい方にも、ケアを通じて「あなたは大切な人だ」と伝わるように、体を拭き、髪を洗う——そんな基本的なことこそ、看護の本質だと感じた経験が私の原点です。
在宅では、ご自宅で最期を迎える方やそのご家族と向き合いながら、「その人らしく生き切る」とはどういうことかを、日々問い直しています。
また、ケアプロで新卒共育にも長く関わることとなり、そこで縁あった新卒若手スタッフとともに草加スーションを立ち上げました。
現在は、現場のケアとチームづくりの両輪を大切にしながら、所長として働いています。

利用者様への実践で印象に残っていることは?

思い出すのは、いつもケアの場面です。
お孫さんに囲まれ、賑やかな中で体を拭かれながら息を引き取った方。
長年介護を続けてきたお嫁さんたちと一緒に、亡くなったおばあちゃんに着物を着せた時間。
30代でがんを患った方の最期に、4歳の息子さんと一緒に足浴をした日。
「最期にお風呂に入りたい」と話していた独居の方。
関係各所と協働し、ゴミに埋もれた部屋を片付け、浴槽を整え、願いを実現できたときのこと。
大切な場面は数えきれませんが、自分を機能させて、「必要なことが、必要なだけ」届いたと感じられる瞬間。
安堵感に満ちる場面が、心に深く残っています。

ステーションづくりで大切にしていることは?

スタッフ一人ひとりの得意を輝かせることです。
オーケストラのように、みんな違う楽器だからいい。
同じ音ばかりじゃつまらないし、誰かの弱さを誰かの強さで補い合えたら素敵です。
「同じになる」のではなく、「響き合う」チームを目指しています。
もう一つ大切にしているのは、成長段階にある存在は組織を強くするという視点です。
赤ちゃんやご病気の方が、いつの間にか家族の中心的存在になるように、まだ経験の浅いスタッフの存在が、周囲を刺激し、結果的にチーム全体の成長につながると感じています。
私自身、新卒共育に関わるなかで、何度もその気づきをもらってきました。
教える側と教わる側という一方通行ではなく、関わるすべての人が学び合う「共育」の文化を育んでいきたいです。

これからどんなステーションにしていきたいですか?

ただ訪問の予定で1日を埋めるのではなく、余白や余力を意図的に生み出すことで、対話や学びの時間を大切にしたいと考えています。
連携を深めていくなかで、看取りや医療的に難しいケースにも力を合わせて挑戦できるチームを育てたいです。
また、地域活動や交流にも積極的に関わることで、仕事そのものに喜びや意味を見出せる場にしていきたいと思っています。
過去には、挑戦を避けたことでチームの対応力が下がってしまった苦い経験もありました。
だからこそ、困難も共有し、そこから学べる組織を、一緒に育てていきたいと考えています。